第10回調理実習レポート

〜ワニも喜ぶ(?)アメリカ南部料理〜

執筆者:石飛千尋

さわやかな五月晴れの土曜日、翻訳ミステリーお料理の会第10回の調理実習に参加しました。今回のテーマとなる本は、抱腹絶倒の面白さで評判の『ワニの町へ来たスパイ』!(お料理はワニ肉……ではない!!)

 

 今回の料理はワニ肉ではなくて、「チキンフライドステーキ」(でもチキンではなくて牛肉)、「マッシュポテト」、「フライドオクラ」、「バナナプディング」と、アメリカ南部料理フルコース。『ワニの町へ来たスパイ』で、主人公レディングがルイジアナの田舎町に到着ほどなく、個性的な老婦人たちに囲まれて礼拝後にカフェで食べたメニューです。作中にも登場したAC/DCBGMに調理スタート! 講師は翻訳家の上條ひろみさんです。

 

 最初に作るのは、冷蔵庫で冷やしておかなければならないので、デザートの「バナナプディング」から。カスタードクリームは、グラニュー糖、小麦粉、卵、牛乳などを混ぜて漉し、鍋を中火にかけ、ゆっくり混ぜて作ります。なかなか固まらなくて焦ったりしつつ、次第にとろりとしてきました。バターとバニラエッセンスを加えていい香り~♪ なめらかになったカスタードクリームの粗熱をとっている間に、バナナを輪切りにしたり、グラニュー糖を加えた生クリームを泡だてたりします。ザ・お菓子作りみたいな作業が楽しく、張り切ってホイップホイップ! 材料が揃ったところで、小さめのボウルに、カスタードクリーム、森永ムーンライトビスケット、バナナを順に重ね、これを何度か繰り返して地層を作っていき、最後に生クリームを表面にのせて完成! ラップをかけ、冷蔵庫に寝かせます。

 

 最後に生リームをトッピングして冷蔵庫に!

 

一方で、丸ごとゆでたジャガイモの皮を「熱っ」となりながら剥き、ポテトマッシャーでマッシュマッシュ! どのくらいつぶすか(なめらかにするか、食感を少し残すか)、牛乳でどのくらいゆるめるか、グループごとに好みを相談しながら、バターや塩胡椒も加えて味付けします。

 

 次に取りかかるのは「フライドオクラ」。まずはポリ袋の中に小麦粉、コーンミール、塩、胡椒、ケイジャンシーズニングを入れて混ぜます。ケイジャン料理とは、まさに物語の舞台となったルイジアナ州の郷土料理で、チリなどスパイスが効いているのが特徴だそう。この時点ですでに食欲をそそるよい香りが。そこに、3等分に切って牛乳をまぶしたオクラを投入し、シェイクシェイク!

 

味をつけて衣をまぶすにはビニール袋を使うので、後片付けも楽ちん。

そのとき、赤々とした牛かたまり肉が登場し、会場がどよめいた。本日のメインディッシュ「チキンフライドステーキ」用のオーストラリア産牛もも肉です。

 見よ、ブロック肉の迫力!!

 

ひとかたまりが5人分、1人あたり2枚、つまり10枚に切り分けます。贅沢~。そしてポリ袋に入れて、肉叩き(または麺棒、すりこぎなど)でバンバン叩き、薄~く広げるのです。これが面白い! スッキリ! 四方のテーブルから激しく叩く音が鳴り響き、皆さんのストレスがみるみる浄化されていくのが見えた(気がした)。叩くのはストレス発散のためではなく、繊維を切ることで肉がやわらかくなるのだそうです。

 

  ゲストも叩きます!

 

薄くなった肉には塩、胡椒、ガーリックパウダーで下味をつけ、粉→牛乳→粉の順にまぶして衣をつけます。この衣がフライドチキン風だから、「チキンフライドステーキ」と呼ばれるんですね~(カントリーフライドステーキという別名もあるとか)。肉につける下味は、オクラのときに使ったケイジャンシーズニングでもいいそうです。それもそそられる!

さて、いよいよ揚げはじめます。フライパンに薄めにオリーブオイルをしいて熱し、オクラを入れます。鮮やかな緑色のオクラに黄色い衣がからみついて、目にも美しく、とてもよい香り。そして牛肉も揚げます。薄くしてあるから、少量の油で揚げられるんですね。揚げ油の音って華やかで気分もアガる! こんがりきれいな色になったら、網にのせて油を切ります。そして肉汁の染み出した油を利用して、さっきの衣用の粉を炒め、少しずつ牛乳を入れて溶いてホワイトグレービーソースを作ります。皿に盛りつけた牛肉とマッシュポテトにソースをかけたら完成!

 

 それぞれ凝った料理で、品数もあるのに、手順がわかりやすく組み立てられていたので、スムーズに出来上がりました。泡だてたり振ったり叩いたりと動的な作業のバリエーションも多く、心地よい充実感もあります。そしてお待ちかねの試食タイムです。チキンフライドステーキは、確かに衣がフライドチキン風なのに、牛肉ならではの旨みでご馳走感満点。そして、オクラがこんなにフライの似合うやつだとは知らなかった! 「ケイジャンシーズニング、うちでも買おうかな」という声が上がっていたのも納得いく絶品です。ホワイトグレービーソースをかけたマッシュポテトがまた良くて、1人あたりジャガイモ1個で「ちょっと多いかな……」と思っていたのが嘘のようにペロリとお腹に収まってしまいました。

 

 バナナプディングは、レディング同様、「生まれてから食べたなかで最高においしい」と感動する味わい! ビスケットがしっとりしてバナナやクリームと一体化しているのです。今回は冷蔵庫に2時間程度だったけど、一晩寝かせるとますますおいしくなるそうなので、家でも試してみたい。

ゲストとしていらした訳者の島村浩子さんが、作中にも登場するルートビアを差し入れしてくださり、皆でちょっとずつ味見をしました。少し薬っぽいにおいが好き嫌い分かれるようですが、慣れればクセになりそう(私は好き派)。『ワニの町へ来たスパイ』のシリーズは、アメリカでは既にシリーズ10作も出ているほどの人気で、2作目の邦訳は今年刊行される予定とのこと。島村さんがちょっとだけお話ししてくださったところでは、展開も期待できるし、出てくる料理もまたおいしそうです! 読むのが待ちきれません~。おいしくて楽しい時間はあっという間に過ぎていきました。お料理の会の世話人の皆さん、島村浩子さん、ありがとうございました!

 

 ところで、この場を借りてのお知らせで恐縮ですが、「翻訳ミステリーお料理の会」の楽しさに感化され、ムーミンの世界の料理を作ってみたい!という趣旨の「フィリフヨンカお料理クラブ」という会を立ち上げました。624日(日)に同じく渋谷で、第1回目を開催予定です。メニューは、ヤンソンさんの誘惑、酢漬けニシンのマスタード風味、ルバーブのキーッセリ(いずれも北欧料理)。会費2000円、定員16名で参加者募集中です。ご興味のある方がいらしたら、vilijonkkacooking18@gmail.com までお問い合わせください。

 

執筆者プロフィール

石飛千尋(いしとび ちひろ)

駆け出し翻訳者。ふだんのご飯はテキトーだけど、時折お菓子を焼いたり、本を見て知らない料理を作ったりしたいという衝動にかられる。訳書はヒーリー『プリンス同盟 プリンス・チャーミングと呼ばれた王子たち』など。

第9回調理実習レポート

〜クランペットってどんなもの?〜

 

 11月の気持ちよく晴れた午後、第9回調理実習をおこないました。今回とりあげたのは『レベッカ』です。マンダレーのお屋敷で午後4時半きっかりのティー・タイムに登場するクランペットと謎めいたサンドウィッチ。「何をはさんであるのか、謎めいた風味のとてもおいしいサンドウィッチ」は、若竹七海さんの短編集『静かなる炎天』を参考に、クミンをきかせたひよこ豆のペースト、つまりフムスと解釈し、それと定番中の定番キュウリのサンドウィッチをこしらえるつもりです。

 さて、問題のクランペット。ミステリーにかぎらず、英国を舞台とした小説でよく目にするものの、実際に召しあがったことはない方が多いのではないでしょうか。なにを隠そう世話人一同も未経験で、試食のときにうかがったら、召しあがったことがあるのはゲストの♪akiraさんおひとりでした。普通にスーパーで売っているそうです。

 調理実習は発酵させるのに時間がかかるクランペットの生地作りから始まりました。講師は森嶋マリさんです。小麦粉やドライイースト、調味料を合わせたものに人肌に温めた牛乳を少しずつ加え、よく混ぜたあと、ラップをかけて室温でしばらく置いておきます。

 あとは発酵するのを待つばかり、ということで、講師は宮裕子さんに交替し、サンドウィッチへ。まずはキュウリをピーラーでごくごく薄くスライスし、塩と白ワインビネガーでマリネします。

 

 

 おつぎはフムスです。ひよこ豆、タヒニ、ニンニク、オリーブオイルなどをフードプロセッサーで混ぜ合わせたらできあがり。クミンとコリアンダーの量はお好みで。ペーストのかたさもそれぞれで、滑らかにする班もあれば、あえてお豆の食感を残した班もありました。

 

 

 フィリングができたので、パンにバターを塗って、いい感じにお味がなじんだキュウリとフムスをそれぞれ挟みます。今回はキュウリはグラハムブレッド、フムスはライブレッドにしました。できあがったサンドウィッチは軽い重しをして、しばらく置いて味をなじませます。

  さあ、いよいよクランペットを焼いてみましょう。生地は発酵してぽつぽつと泡が見えます。このぽつぽつがクランペットのキモというか、大事なんだそうです。焼き上がりに残るぽつぽつにバターや蜂蜜がよくからんでおいしいんだそう(ゲスト♪akiraさん談)。フライパンにバターをひいて、紙のセルクルに生地を流しこみます。ホットケーキを焼く要領で、弱火でじっくり火を通しましょう。端が乾いてきたら、頃合いを見てひっくり返します。いい感じに両面きつね色に焼き色がついたらできあがりです。

 

 

 最後にサンドウィッチの耳を落とし、小さくカットして盛りつけたら、お待ちかねの試食タイムです。マンダレーよりも40分ほど早めのティータイムとなりました。クランペットに添えるのは、お約束(らしい)ゴールデンシロップ、クロテッドクリーム、メイプルシロップ、森嶋マリさん手作りの林檎のジャム、ルバーブのジャム。たっぷりミルクティーを淹れて、いただきます!

 

ゲストの♪akiraさんのお話は、映画、原作ともに多岐にわたり、とても充実した時間となりました。ヒッチコック監督は映画『レベッカ』で大胆に原作を改変していて、それは最近新訳の出た『見知らぬ乗客』も同様だそうです。そこから原作を大胆に変えている映画といえば?という話になり、いま公開している『ザ・サークル』『わたしの中のあなた』や、話題の『オリエント急行殺人事件』などの名前が挙がりました。♪akiraさんはいま発売中の『ミステリマガジン』で『ザ・サークル』のポンソルト監督にインタビューしたそうで、その様子も詳しく語っていただきました。映画はもちろん、そのインタビューも読みたくてたまらなくなったのはわたしだけではないはずです。

 そうそう、当会名物(?)余った具材でもう一品。今回は余る具材がないので難しいですねと話をしていたのですが、最後にサンドウィッチをカットしたら、耳が出現!当然それが見過ごされるはずはなく、おいしい一品ができあがっていました。

 このように和気藹々とたのしい午後が終了となりました。参加してくださったみなさま、どうもありがとうございました。あの作品に出てきた、こんなお料理をこしらえてみたいというご希望がありましたら、mys.cooking@gmail.com までお寄せください。

 

                                            翻訳ミステリーお料理の会、世話人一同

 

 

 

 

第8回調理実習レポート

 

第8回調理実習レポート ニール・ケアリーのチーズバーガー

 

                                                                (執筆者:宮崎裕子)

 

チーズバーガーと聞いて

とっさ思い浮かベるのはどんなものだろう?

私を含め、多くの日本人が思い浮かべるのは多分、

ファストフード店などで売られている

小ぶりで手軽にお腹を満たせるけれど、

それ自体に強い愛着を覚えるような「特別」なものではないと思う。

 

今回の調理実習ではその「チーズバーガー」がお題。

お手軽なメニューだなと思っていたら、

なんとバンズから手作りしようということになった。

パテも贅沢に100%国産牛肉を使用するという。

しかもチーズバーガーに使用するチーズは2種類!

フライドポテトも作るというのだ。

どうやら最初に考えていたものとは全然違うらしい

ということがわかってきた。

 

今回は試作会に参加できなかったため、

私はレシピカードを作りながら

ニール・ケアリーの好物のチーズバーガーの味を想像して過ごした。

 

そして迎えた当日。

まずは一から手作りするということで時間の配分が難しいバンズから。

講師の森嶋マリさんのお手本を見ながら作業を進めていく。

 

ボールに分量の粉と砂糖、ドライイーストを合わせ、ぬるま湯を注ぎ

カードを使って全体をざっと混ぜ合わせてから塩とバターを加える。

再びカードで全体を良く混ぜ合わせてから台の上で捏ねる。

調理台の上を大きく使い、思い切り力を込めて捏ねる作業は、

日頃のストレス発散(?)にもなったかも。

パン作りは初めてという方もこの作業を楽しんでいる様子だった。

あっという間に生地が捏ねあがり、一次発酵へ。

40度のオーブンで45分発酵させる。

 

次は、生地の発酵を待つ間に玉ねぎを刻み、

バンズに挟むパテやフライドポテトの用意。

 

刻んだ玉ねぎは飾り用に少し取り分け、

残りはしんなりするまでフライパンで炒めて冷ます。

その後、牛ひき肉、溶き卵、塩、胡椒、ナツメグ、パン粉と合わせて

よく捏ね、丸くパテの形に整形し、寝かせておく。

 

フライドポテトは揚げ焼きにする前に皮ごと固めに茹でるのだが、

このジャガイモの茹で加減が意外に難しかった。

前のテーブルに見本として置いた、茹で上がったジャガイモの

固さを確かめるために、代わる代わる串を刺しに来る参加者と、

ブスブスと串を刺されているジャガイモの様子がなんだかユーモラスだった。

 

今回の実習ではバンズの発酵やジャガイモを丸ごと茹でる

といった作業が多く、待ち時間が結構あったのだが、

この時間を使って参加者一人一人が自由におしゃべりを

しながら交流することもでき、楽しい時間が過ごせたと思う。

 

さて、そうこうするうちにオーブンに入れておいた

バンズの生地が出来上がってきた。

丸め直して整形し、オーブンシートの上に並べて

白ゴマを降った生地はなんともいい感じ。

 

2次発酵に20分ほどかけてから、

180度に予熱したオーブンで15分ほど焼けば出来上がりだ。

 

焼きあがったバンズを冷ましている間に

茹でておいたポテトを食べやすく切り、揚げ焼きに。

一人につきジャガイモ1個の割り当ては結構な量だった。

 

ポテトが出来上がったら続けてパテを焼く。

おいしそうな匂いがスタジオ中にあふれてお腹が鳴りそうだった。

 

パテを焼いている間にピクルスとチーズも切った。

この日用意された2種類のチーズは塊のままだったので、

切り分けるときに厚切りになってしまうと

他のテーブルの人の分がなくなってしまうかもしれず、

チーズを切る役になった人は相当なプレッシャーの中、

慎重にチーズを切り分けていた。

 

焼きあがったパテの上にこの2種類のチーズをのせて蓋をし、

予熱でチーズをとろけさせたらパテは完成。

パテの上でとろけるチーズを見て、

心の中で「ああ、早く食べたい」と思う。

 

「では、ハンバーガーを組み立てま〜す」と言う声がかかると、

冷ましておいたバンズを半分に切って、

ちぎったレタス、パテ、ピクルス、

そして取り分けておいた刻み玉ねぎを順番に乗せていった。

本当にボリューム満点だ。

 

最後にケチャップをトロリとかけて、

もう半分のバンズを乗せたら

「ニール・ケアリーのチーズバーガー」の出来上がりだ。

用意されたハンバーガー用の袋に入れて、

ポテトも添えたら記念の写真をパチリ。

 

楽しい試食タイムには今回の講師を務めてくださった

森嶋マリさん特製のスイーツも振る舞われ、

和やかなひとときとなった。

肝心のチーズバーガーだが、ジューシーで美味しい!と、

あっという間に全員完食!

これなら、また食べたくなるよね〜、と皆口を揃えて言っていた。

家でもう一度作ろうと言っていた人もちらほら。

 

余談だが、ゲストにお招きした翻訳者の

那波かおりさんとないとうふみこさんが

今回のニール・ケアリーをイメージして作成した

レシピカードを観ながら「ストリート・キッズ」の

ニールの天使性とグレアムの悪魔性を語られていたことも興味深かった。

東江一紀さんにも見ていただきたかったと

言ってくださったことも忘れられない。

 

今回が8回目となるお料理の会だが、

作品に登場する料理を作るというのは本当に面白い。

人は五感を使って物事を感じ取るようにできているのだから

料理を通し、作品の中に生きる登場人物の性格や感情、

生活空間などがひときわ鮮やかに生き生きと

色づいて見えてくるのは気のせいではないだろう。

 

だから、翻訳された料理のシーンが美味しそうだとワクワクしてしまう。

同じものを食べてその世界に浸りたいと思う。

 

今回は調理実習を終えたら、

いつの間にか自分の中のチーズバーガーのイメージが変わっていた。

私がこれから先「チーズバーガー」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは

間違いなくこの「ニール・ケアリーのチーズバーガー」なのだから。

 

さて、これからもこのお料理の会で、知らなかった世界をたくさんの方達と

一緒に味わえるのを楽しみにしよう。次回も今から待ち遠しい。

 

 

 

 

 

 

 

これが....

こんなになって

こうなって

こんなのもこしらえて....

こうなりました

今回のレシピ

「天使のニール」今回の「天使のレシピ」

第7回調理実習レポート

第7回調理実習レポート スペンサーの食卓

 

11月最後の土曜日、翻訳ミステリーお料理の会は第7回の調理実習を行いました。今回は

参加してくださった方からのレポートです。

 

(執筆者:よしだ熊猫)

スペンサー・シリーズを読んでいると何やらお腹の虫が騒ぎ出すのは私だけではないと思います。

スペンサーの手から生み出される「アメリカの日常の食事」。なんとも美味しそうですね。

世話人の皆様が「いつかはチャレンジしてみたい」と仰っていたそのレシピが、

いよいよ翻訳ミステリーお料理の会のまな板の上に乗せられる日がやってきました。

 

 

        ①    今回はこんな材料を使います✨

この日は粉類はあらかじめ用意されていたこともあって、参加者のみなさんの作業もスムーズ。

中にはこの後に作るパスタ用の野菜を切り始める班もちらほら…。

そんな訳でオーブンから良い香りが立ち上がってくる頃には、パスタ作りの準備もすっかり整いました。

加賀山さん、実はお料理男子なんだとか。

どうりでエプロン姿がさまになります!✨

今回の講師は翻訳者の芹澤恵さん。

軽妙なおしゃべりを混ぜつつ、手順を教えてくれます。

 

まずはコールド・アスパラガスから。

アスパラガスを好みの柔らかさに茹でて、

ベビーリーフとトマトをあしらったお皿の上に並べます。

その一方で3種類のハーブを刻んでマヨネーズに混ぜてソース作り。

共同作業なのでサラダとソースが同時に出来上がっていきます。

ハーブは何でもあるものでとのことなので、いろいろな

組み合わせを試して自分の好みを見つけるのも楽しそうです。

出来上がったサラダとソースはひとまず冷蔵庫へお引越し。

試食まで暫しのお別れです。

 

続いてはホットビスケット

講師は芹澤さんから、イラストレーターでありながらパン教室も

開いているという粉物名人・宮崎裕子さんに交代です。

バターを切って、空気を含ませた粉に混ぜ、

そこに生クリームを投入して生地をまとめます。

ささっと成形したら、予熱していたオーブンへin

とっても簡単なこのレシピ。

いちばん大変なのは最初に分量の粉を図ることじゃないかしら。

この日は粉類はあらかじめ用意されていたこともあって、

参加者のみなさんの作業もスムーズ。

中にはこの後に作るパスタ用の野菜を切り始める班もちらほら…。

そんな訳でオーブンから良い香りが立ち上がってくる頃には、

パスタ作りの準備もすっかり整いました。

 

 

ホットビスケット、焼きあがりました。    

パスタ作りの講師は芹澤さん。

松の実とパン粉をオリーブオイルで炒める一方で、

先ほどアスパラガスを茹でたお湯を利用してパスタと野菜を茹でます。

パスタは全粒粉で作られたもの。ここがスペンダーのこだわりなんだとか。

パスタにパン粉を加えるレシピは、昔シチリアの貧しい人々がチーズの

代用品としてパン粉を使ったことに由来するそうです(芹澤さん談)

そういえばネロ・ウルフにもパン粉をパスタに混ぜるレシピがありますが、

アメリカでは割と一般的なのかしら。

茹で上がったパスタと野菜、パン粉をソースに絡めて完成です。

 

いつもより品数が多いので時間が足りなくなるのではと心配したのですが、

講師の方々の説明が分かりやすい上に参加者のみなさんの手際が本当に良くて、

あっという間に3品がテーブルに並びました。

 

 

      ①    シンプルな調理法ばかりなのに、このボリューム!

いよいよお楽しみの試食です✨

サラダ、パスタ、ホットビスケット。

どれから食べるかはみなさんそれぞれでしたが、

同じように「美味しい!」という声が上がります。

 

サラダに添えたマヨネーズのハーブのフレッシュな香り。

パン粉が生み出すパスタの食感の面白さ。💕

ホットビスケットのリッチな味わい。♫

 

うーん。スペンサー侮りがたし。

 

こんなお料理を手早く楽しんで作ってくれるパートナーがいたら、

スーザンが頼ってしまいたくなるのも分かるってものです。

 

加賀山さんも「簡単に作れるのに美味しい!」とご満足の様子。

いままでスペンサーの料理を作ってみたことはなかったそうですが、

またご自宅で作ろうかななんて仰ってましたよ。

 

その加賀山さんの解説によると、スペンサー・シリーズは

ラノベに近いミステリーとのこと。

会話が多く、事件もそれ程込み入ったものではなく、

キャラクターの魅力を前面に押し出しているというのがその理由。

なので翻訳ミステリーを読み慣れていない人にお勧めしやすいのではないかと。

 

実はこの日、もうひと方ロバート・B・パーカーの作品を訳されている

翻訳者の光野多恵子さんもご参加されていて、加賀山さんとご一緒に

パーカーの魅力をたっぷり話して下さいました。

 

そうそう。

さすがに今回のお料理はボリュームがありすぎて

(だってパスタの具がかぼちゃとズッキーニですよ。

スペンサーどれだけかぼちゃ好きなの)

ホットビスケットを食べきれず持ち帰りにした参加者もおりました。

 

実は私もその1人。持ち帰った物を翌朝焼き戻して頂きましたが、

サクサクで美味しかったことをお知らせしておきます。

 

毎回、美味しいレシピと楽しい話題を提供してくださる

お料理の会の世話人のみなさま、今回もごちそうさまでした!

 

2016/6//25

第6回調理実習レポート 

 

エスニックな昼下がり

 

💧蒸し暑い日本の夏を先取りしたような、6月終盤の土曜日、

翻訳ミステリーお料理の会は第6回の調理実習を行いました。

 

今回は、オヴィディア・ユウのアジアン・カフェ事件簿シリーズから、

ココナツミルク🍼で炊き込んだごはん、ナシレマッとおかず数品、

デザートにお芋を使ったエスニック風のお汁粉をこしらえました。

 

講師は同シリーズの訳者でお菓子名人でもある森嶋マリさん。

 

まずは今回の主役であるナシレマッから。

といっても、ジャスミンライスにパンダン・リーフ🍃なる香草とショウガと

ココナツミルクを加えて分量まで水を入れ、あとは炊飯器にお任せ、というお手軽スタイル。

 

おかずにはナスのサンバル・ソース添え、ピーナツの揚げたの、イカン・ビリス🐠という

煮干しの揚げたの、添えもののゆで卵ときゅうりの薄切りを用意します。

 

そこに森嶋さん特製のエスニック風ピクルス、アチャーも加えて、

エスニック・カフェ風✨に一皿に盛り込むという趣向。

 

いずれも聞いただけでは、なんだか難しそうですが、調理法はいたって✨シンプル✨

揚げるだけ、炒めるだけ、茹でるだけ、あえるだけ 

サンバルは東南アジアの食卓にはよく登場する、唐辛子をたっぷり使った辛いソースで、

本格的にこしらえる場合は石臼に石のすりこぎを使ってごりごりすりおろしていきますが、

今回はちょっとはしょって瓶詰の市販品を使いました。

 

同時進行で、ボボチャチャをこしらえます。

タピオカを茹で、サツマイモを茹で、ココナツミルクと

グラメラというココナツ原料の砂糖と香草を加えて即席のお汁粉に💖

 

こちらもタピオカが半透明になってお芋が茹れば、あとはあっという間に完成です。

もしかして、翻訳ミステリーお料理の会の調理実習史上(ってまだ、たったの6回目ですけど)、

完成までの所要時間は最短記録を更新かも。ということで、あっという間に試食タイムとなりました。

 

 

今回のスペシャル割引は、作品の舞台にちなんで「シンガポールに住んでいたことのある方」

試食をしながら、現地で撮影していらした写真を見せていただき、いろいろお話をうかがいます。

 

そうそう、訳者の森嶋さんも取材を兼ねて一週間ほど滞在していらしたそうで、

シリーズ二作めに登場するブア・クルアを使ったお料理も試食してきたとのこと。

そのお話も聞かせていただきました。

 

ご存じのようにシンガポールは他民族国家。主にマレー系、中華系、インド系、

アラブ系の人たちに近隣のアジア諸国から働きに来ている人たちも加わり、

日常生活に使われていることばはもちろん、お料理も生活様式も建物も着るものも

それぞれ独自の彩り豊かな文化を展開しています。

 

そんなお話から「今回のナシレマッは、マレー系のお料理だけれど、

アチャーはインド料理でも出てくるし、サンバルはインドネシアでも使われるし、

いろいろな国のお料理がバランスよく盛り込まれていて、シンガポールの象徴のような

一品だと思う」という感想も。まさにそうかもしれません。♪(´ε` )

 

そうした彩り豊かな街を舞台にしたこのシリーズの最大の魅力は、

主人公のアンティ・リーのキャラクターと彼女のこしらえるプラナカン料理にまつわる

あれこれですが、もうひとつ、多民族国家ならではの社会問題がさりげなく作品のモチーフとして

取り上げられているところも。この夏休み、忙しくて旅行なんて行っていられない、という方、

このシリーズで”書斎の旅人”と洒落込むのもいいかもしれません。

 

ところで、調理実習名物の「余った素材でもう一品」。はい、今回も出ました。

 

今回サツマイモは茹で時間を短縮するために皮を剥いて使いました。

その皮を丁寧に剥いて取っておき、揚げ油で素揚げにし、グラメラと

ピーナツのみじん切りであめがらめにする✨、というもの。

今回は「たぶん、お芋の皮の素揚げぐらいは出てくるんじゃないかな~」

と予想していましたが、それのうえを行く手の込みよう。(O_O)

スタッフ一同、そして参加者のみなさんも感心しきりでした。

 

今回はお肉っ気ゼロのメニューでしたが、揚げ煮干しと豆の香ばしさ、

サンバルの辛さも手伝ってスプーンが止まらなくなり、デザートのお汁粉まで完食すると、

あれっと思うほど満腹に。✨満足しつつ、手際よく後片付けをすませて解散となりました。

 

 

というわけで、おかげさまを持ちまして、第6回調理実習も、無事に打ち上げることができました。

食材を準備するのに季節を無視できず、なかなか定期開催とはまいりませんが、

これからも細々と、おいしくておもしろいものをこしらえていきたいと思っています。

 

 

引き続きみなさまからのリクエストを募集しています。

「あの作品に出てきた、こんなお料理をこしらえてみたい」というご希望がありましたら、

mys.cooking@gmail.com までお寄せください。

 

 

翻訳ミステリーお料理の会、世話人一同

 

 

 

    今回のレシピ・カードは「プラナカン・ハウス」。

在住者の方に、現地で撮影していらした写真を見せて

いただきましたが、実物もカラフルでかわいらしい

外観をしています。

ご興味のある方は→http://singapore.navi.com/special/5034153

    今回はこんな食材を使いました。

    アンティ・マリこと森嶋さん特製のアチャー。

複雑で奥深い味にごはんがすすみます。

    お椀を使ってナシレマッをこんもり。

まわりにおかずを盛りつけます。

    デザートのお汁粉も添えて。グラメラの優しい甘さが夏向き!

調理実習こぼれ話

マカロニ&チーズとみかんドレッシングのサラダ編

2015/11/7

おなかをぺこぺこに減らして望んだ

第5回翻訳ミステリー調理実習はメニューもボリューム満点♡

 

今回のメインマカロニ&チーズ✨は 

 

アメリカではポピュラーなお料理なんだそう。

インスタントの箱に入ったものもよく売られているらしい。

 

でもでも💦 せっかくなら

インスタントではないものを作りましょう!

 

と、いうことで迎えた当日☀️

 

 

なるほど本格的なホワイトソースにはとびきり美味しいチーズ2種類!が

これでもか💢というほどたっぷり入って...

 

部屋中に漂うのはバターとチーズのこんがり焼けるいい匂い✨

 

絶対 大人も子供も大好きに違いない!☺️

と、気づけば期待に満ちた眼でオーブンの前にしゃがみこみ、

おしゃべりしながら、かわゆく焼き上がりを待つ参加者のみなさん。

なんとも微笑ましい光景❤️♥️❤️

 

さらに、付け合わせの人参サラダは

輪切りにした人参を使う、日本ではあまり見た事のないサラダ❤️

 

これには特製のみかんドレッシングが使われているのです。🍊

 

今回はちょっと贅沢に生のみかんを用意して使いました。

作品の中でもみかんにこだわって作られているようです。

 

みかん果汁にちょっぴりレモンも加えて作るこのレシピ、

それはそれは爽やかな風味のドレッシングが出来上がりました。

あとは蒸し上がった人参をドレッシングに漬け込んで冷やしておくだけ✨

ふだんのおかずに作り置きしても重宝しそうです。

 

試食会のときには、参加者の方から「なぜ、みかんなのか?

オレンジでも良いのでは?」という質問も飛び出し

ひとしきりその話題で盛り上がりました。が、そこには衝撃?!のオチが....(笑)
なな、なんと原作では。。。
(是非原作もごらんになってみてくださいね(^o^)♫)

 

そして皆の眼を釘付けにしたのはテーブルの上に鎮座していた謎のうさぎ?さん...

 

彼?彼女?はいったい...

 

 

実は、この可愛いキャラクターの名前は「くらり」。東京創元社の宣伝部員として活躍中なんです💕

ミステリーが似合う黒猫なのですが本人はうさぎのつもり?....らしい。

うさ耳帽子もよく似合うし、写真のリクエストにも気さくに答える人気者(^^)

また是非お料理の会に来ていただきたいなぁと思いました♪

 

詳しくは東京創元社の専用ページをご覧ください(^^)→くらり氏の謎


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